矛盾を無くす思い込み/なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのかを訪ねる4
事実と感情を一致させる思い込み
人は、矛盾していることを嫌うようで、事実と感情が一致しないとき、事実を感情に近づけて一致させることがあるようです。
例えば、何かをきっかけに、「得体の知れない恐怖や不気味さ」を感じたとき、恐怖になるものや不気味さを感じるものがなくても、その場に「恐怖や不気味さ」を作り上げてしまう。
日常の生活で言えば、ホラー映画を観たときが当てはまるのかなと思いました。
深夜にホラー映画を観て恐怖を感じた後、ひとりでトイレに行く。このとき、普段トイレに行くときには、感じない不気味さを感じる。そしてトイレには何かが潜んでいる気がする。後ろから何かが襲ってくる妄想が頭に浮かぶ。
ありもしない恐ろしいことを予測することで、恐怖の感情と事実を一致させる。矛盾をなくすことができる。
普段、なんとなく苦手だったり、反対に好意を抱いていたりする人がいるとすれば、事実とは別に、相手を苦手に感じるような、または、好きだと感じるような部分を勝手に作りあげてしまうなんてこともあるのかもしれません。
なんとなく苦手に感じる人の言動に、敵意や悪意を感じる。
なんとなく好意を抱いている人の言動に思いやりや、優しさを感じる。
しかし、その敵意や悪意、思いやりや優しさは、自分が感じていることが矛盾しないように自らが作り出している。
「思ったよりもあの人は思いやりのある人だ」
「いい人だと思っていたのにまさかあんなひどいことをするなんて信じられない」
そういう風に感じることが時たまあると思います。
ただ、その人の人物像を実は、自分自身が勝手に作りあげていた可能性もある。
そしてそれらは、無意識だからこそ、注意すべき点なのかもしれません。
その時々の感情を感じよう。
楽しいときの食事は美味しく感じる。
つらいときの食事は味を感じない。
人のやさしさに感激した日は、世界は輝いて見える。
人の冷たさに触れた瞬間、世界はひどく寂しい場所になる。
感情は、世界を同じ色に染める。
本を巡る旅におつきあいいただき、ありがとうございました。
今回の読書は、前回に引き続き、「偏見」をテーマにした本です。
なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか
ハワード・J・ロス【著】
御船 由美子(みふね ゆみこ)【訳】
なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか 逃れられないバイアスとの「共存」のために [ ハワード・J・ロス ] 価格:2,640円 |