本を訪ねる

読書は自分を知る旅

思考の速度で考えが変わる/なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのかを訪ねる7

速い思考は、何を参照しているのか?

 今回の読書では、普段意識していない『思考の速度』について考えることになりました。

 

 考えること、思うことの『速度』が速い場合、何が起きているか?

 

 思考が速く駆け巡っていると、『起きたこと』に対して思考をしていない可能性があるようです。

 

 速い思考は、『起きたこと』と似た『過去の経験』を基に考えたり、感情を呼び起こす。

 

 例えば思考が速いと、嫌いな食べ物を目にした時、『過去に食べて美味しくなかった』という経験をもとに、『美味しくないもの』と判断し、『食べたくない、不快な気持ち』を呼び起こします。

 

 食べてもいないのに『美味しくない』と判断するのです。

 

 食べ物以外でも、人間関係や、仕事など、様々なことに当てはまるかと思います。

 

 「あの人は苦手だ、意見がいつも合わないから」

 

 「その業務はもうやりたくない。過去に大きな失敗をしたから」

 

 『起きていること』について思考しているようで、『過去のこと』で判断しているので、場合によっては、状況判断にズレが生じる可能性があります。

 

 一方、遅い思考は『起きていること』について思考をします。

 

 例えば、『嫌いな食べ物』を目にした時、最初は、速い思考同様で、食べたくない、不快な気持ちが呼び起こされるかもしれませんが、判断までに深く考えることができます。「前回と違って、美味しく感じるかもしれない」という思考ができるかもしれません。

 

 以前食べたものより、鮮度がよさそう。品質がよさそう。

 

 前は、組み合わせが良くなかったのかも。

 

 自分の体調が影響していたかもしれない。

 

 思考を遅くすることで、『嫌いな食べ物』でも、『過去食べた経験』について考えることから、『目の前にある嫌いな食べ物』について思考を巡らせる機会ができます。

 

 速い思考同様、遅い思考も、人間関係や仕事など様々なことに当てはまります。

 

 「あの人は苦手だ。意見が合わないから、しかしなぜいつも意見が合わないのだろう?立場が違うから?お互いに張り合ってしまうから?」

 

 「あの業務はやりたくない。過去に大きな失敗をしたから。でも経験を積んだ今ならどのくらいできるだろうか?失敗から学んだことを活かすことができれば、次は上手くいくんじゃないか?」

 

 思考の速度を落とすことで、「今、ここ」を見つめることができるようになる。

 

 速い思考、遅い思考、どちらも生きる上では、必要なんだと読んでいて感じました。

 

 大切なことは、使い分けることだと思います。

 

 私たちは、目まぐるしい日常を速い思考で生きているのではないでしょうか。

 

 今起きていることは、本当に嫌なことでしょうか?

 

 反対に楽しいと感じているでしょうか?

 

 どこかしっくりこないときは、思考の速度を落として

 

 「今、ここ」を感じてみることも良いことなのかもしれません。

 

 本を巡る旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 今回も前回に引き続き、「偏見」をテーマにした本です。

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なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか

ハワード・J・ロス【著】

御舩 由美子(みふね ゆみこ)【訳】

なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか 逃れられないバイアスとの「共存」のために [ ハワード・J・ロス ]

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