本を訪ねる

読書は自分を知る旅

能力に含まれているもの/なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのかを訪ねる5

能力は単純に個人のちからだけではない

 今回の読書では、能力というものについて考えさせられました。

 

 能力には、個人差があります。

 

 しかし、能力の個人差は、単純に知力や体力といった『個人のちから』だけでは決まらないようです。

 

 例えば、勉強の成績で上位の人と、下位の人の違いに、本人の生まれ持った能力や、努力だけが影響しているのではなく、勉強のできる環境というものが影響してきます。

 

 勉強のできる環境とは、家庭の経済環境が良く、働くことが必要ではなく、勉強のみに集中することができる。家族の関係性が良好で、家庭が安心できる場所である。

 

 食事がちゃんと取れている。

 

 経済的に学校に行くことができる。

 

 頼れる友人がいる。

 

 など以上のような、経済状況、周囲の人間関係なども、実は、『能力』に影響を及ぼします。

 

 反対に、勉強のできない環境とは、学業以外にバイトをしなければ、生活が成り立たない。親の手伝いに多くの時間を割かなければならない。両親の仲が悪く、家庭に居場所がない。

 

 食事は、空腹を満たすので精一杯。

 

 進学をするための資金がない。

 

 いじめを受けている。

 

 能力を発揮するチャンスに恵まれない。努力することもままならない。そういった状況から、下位に位置づけされてしまう。

 

 能力は、そう単純に見定めることは難しいようです。

 

 知力や体力以外のほかの能力にも同じようなことが言えると考えられます。

 

 社交性なら、子どものころから自分に関心を持って接してくれる人が多い、話をよく聞いてくれる人が多いなら、社交性を伸ばせる環境の恩恵を受けることができるのではないでしょうか。

 

 反対に、子どものころから、親や、周囲に気をつかう必要があり、話してもしっかり聞いてもらうことが少なかったとすれば、社交性を学ぶ機会が少ない分、社交的にはなりにくいのではないでしょうか。

 

 勉強ができる。勉強ができない。

 

 運動能力が高い。運動能力が低い。

 

 社交性がある。社交性がない。

 

 得意分野がある。苦手分野がある。

 

 評価基準ですぐに思い浮かぶのは、『個人の能力』の可能性が高いですが、そのほかの要素を見逃すことは、伸びしろを見落としたり、上手くいっている要素を手放してしまうなんてことにもつながるかもしれません。

 

 今、手にしている環境の恩恵にどれだけ気づけているだろうか。

 

 今、他の人と比べてできないことで落ち込んでいることはないだろうか。

 

 上手くいったときには、恩恵に感謝を

 

 壁にぶつかったときは、自身の無力だけを嘆くことはない。

 

 本を巡る旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 今回も前回に引き続き、『偏見』をテーマにした本です。

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なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか

ハワード・J・ロス【著】

御船 由美子(みふね ゆみこ)【訳】

 

なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか 逃れられないバイアスとの「共存」のために [ ハワード・J・ロス ]

価格:2,640円
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