練習は何をする?/やり抜く力を訪ねる7
意図的な練習と自己受容
ふつうの人びととちがって、エキスパートたちは、ただ何千時間もの練習を積み重ねているだけではなく、エリクソンのいう「意図的な練習」(deliberate practice)を行っている。
やり抜く力 第7章 成功する「練習」の法則より。
やり抜く力
アンジェラ・ダックワース【著】
神崎 朗子(かんざき あきこ)【訳】
練習は、弱点の克服に努めることがよいと著者は本書で語っている。
自身の弱点を分析、高めの目標を設定し、克服に努める。
ずっと同じ練習をするのではなく、その時々、個人に合った練習を意図的に行うことで、技術を磨く。
弱点克服の『意図的な練習』が困難を乗り切るやり抜く力につながるようだ。
本書に意図的な練習は、一般的に「大変であり、楽しくない」と感じるとある。弱点克服には、限界に挑み集中することで、体力的、頭脳的に極度の疲労をもたらすからだそうだ。
ただし、皆が皆、意図的な練習を「大変で、楽しくない」と感じるわけではなく、『やり抜く力が強い人』のなかには、意図的な練習を「大変だが、楽しい」と感じる人もいるようだ。
弱点克服が大変なのに変わりはないが、楽しいと感じる人と、楽しくないと感じる人がいるのはなぜだろうか。それは、本章の最後に語られている内容にヒントがあるように思う。
成長するにつれて、間違うこと、失敗することに、恐れや羞恥心が生まれる。それは、失敗や間違いを引き起こしかねない『弱み』を、悪いもので、否定すべきものだと認識させてしまうのではないだろうか。
意図的な練習は、弱みと向き合うため、自己否定感を味わうことになると考えられる。
そんな自己否定感を取り除き、弱点克服に取り組むためには、弱みを受け入れることが必要になってくるはずだ。
弱点克服には、自己受容が必要だと思う。
裏を返せば、弱点克服の練習が自己受容を高めてくれるのかもしれない。
ツライ弱点克服の練習が実を結ぶとき、大きなやり抜く力につながる。
本を巡る旅におつきあいいただき、ありがとうございました。
やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける [ アンジェラ・ダックワース ] 価格:1,760円 |
弱さ(ヴァルネラビリティ)をテーマにした本の読書記録。