本を訪ねる

読書は自分を知る旅

絶好にある陰、絶望にある光を見る

光の影、陰の光を見ることで成長は続く。

 いま、絶好調ですか?絶不調ですか?

 今回の読書感想は、こちらです。↓

菜根譚 心を磨く一〇〇の智慧 [ 王福振 ]

価格:1,650円
(2020/8/5 21:34時点)
感想(2件)

 菜根譚 心を磨く100の智慧

 王 福振(ワン・フーツェン)【編】

 漆嶋 稔(うるしま みのる)【訳】

菜根譚とは…

 菜根譚とは、「中国5千年の人生訓を集大成した奇書」と国内外から評価されていると本書では解説されています。儒教道教、仏教という三大思想の道理を含んでいます。

 作者は、大学者である洪応明(こうおうめい)。

 洪応明が菜根譚で伝えたい趣旨は、「心安らかならば粗末な家でも穏やかに暮らせる。そして、堅い菜根も美味しく感じられる。」「心安らかであれ」ということです。

 菜根譚は、儒教の仁義と中庸、道教の無為、仏教の悟りを1本化させながら、情と理のバランスの取り方や、諸事万端の道理を説明し、出所進退のあるべき姿を説いていると本書には、書かれています。

本書、編訳者、翻訳者紹介より…

 編訳者の王福振さんは、北京金鴻儒教育研究院高級研究員で作家です。主な著書に『曹操出世智典』、『荘子智慧全集』、『老子智慧講堂』などがあります。

 翻訳者の漆嶋稔さんは、主な翻訳書に、『中国思想に学ぶ成功にこだわらない生き方』、『中国貧困絶望工場』、『馬雲のアリババと中国の知恵』などがあります。

感想①成長とは完結させないことで、光の中の陰、陰の中の光を見ること。

 本書を読んで、気が付いたことは、どんなに絶好調であるときも、絶不調であるときも、その多くを占めている部分ではなく、その中に隠れている部分を見つめることが成長することに大事なんだということです。

 絶好調の時は、上手くいっていることから油断や傲慢といった陰を招き、その陰が次第に光を飲み込み不調、絶不調を招く。

 反対に絶不調の時に、失敗や不幸から得られる学びや、気づきから光を探し、その光が次第に影を包み込む。

 好調、不調の時にその状況で完結とせずに、好調なら予想されるこれからの危険や、周囲と自分の心持ちの変化に視点を置いて、常に陰にのまれなようにすることが大事だと思いました。反対に不調の場合は、その不調そのものから学べることや、その不調の中で支えや助けになっていることを見つけることが大切だと感じました。

 好調も不調も反転する。それをどうするかは、好調の中の不調、不調の中の好調を見つけることで変えることが出来ると思います。

ほどほどに生きる

 本書で、『仕事に邁進することは美徳であるが、苦役と感じられるほどの働きすぎでは心身が疲弊する。また、さっぱりとして気位が高いのはいいが、淡泊でありすぎては何の役にも立たない人間となる』とあります。

 好調のときも不調のときも、心持ちをどちらか極端な方向へ振らず、中心を目指すことで、不調から好調へすることができ、好調から慢心せずにさらに良い方向へと進むことが出来ると思います。

感想②ちからを使う時は、見極めることが大切。

 自分の得意なことや長所は、普段から自慢したりひけらかすことで、周囲から妬まれたり、危険だと思われたりすることがあると本書を読んで気が付きました。だからと言って自分の良い部分を使わないわけではなく、(ここぞという時)にこそ使うべきだとわかりました。(ここぞという時)以外は、本書では愚者を演じよとあります。もしも、仕事などで立場を得た時に、自分の立場より弱い立場、下の立場の方がいれば同じ目線で見られるようにすることで、相談を持ち掛けてもらいやすくなったり、やり取りがスムーズにいったり役立つように感じました。誰からも話を持ち掛けやすいようにすることは大事だと思います。

賢い愚か者になる

 本書には、『洞察力に優れていることが必ずしも賢人とはならない。洞察力がありながらも、その力がないように振る舞える者が真の賢者である』とあります。

 優れていることが必ずしも良いと思われるとは限らない。時には、わからないというふうに振る舞うことで、相手に窮屈さを与えないようにすることが出来るし、目線を同じに出来る。もしも何かを教える立場にある時に相手に主体性を持ってもらう時に役立つ考えだと思います。そして、教わっている側で対処できない(ここぞという時)に対処する。行動を起こすときの判断の基準を決める良い教えだと感じました。

感想③真ん中を意識することが大切。

 感想①と②にも言える事ですが、物事を極端に捉えることで問題が起こるのかなと本書を読んでいて思いました。極端とは、別の考えの入る余地がないことになっていましす。絶好調だと感じると、その状況に不調があると感じる余地がなくなってしまいます。絶不調だと感じると逆に好調を感じる余地がなくなります。

 相手が自分より劣っていると思い込むと、相手のすごさを見つける視野がかけてしまいます。逆に自分は相手より劣っていると感じてしまうと自分の本来持っている良さを見つける視野がかけてしまいます。

 どのようなことでも、どちらかがすべてという状況ってあまりないように思います。どんな状況でも、イエスかノーや、〇か✖の二択ではなく第三の答えを求められるようになりたいです。

中庸の心をもつ

 本書に『清らかな心をもち度量が大きく、慈悲深く決断力がある。聡明であって人を批判することはなく、剛直であって余計な口出しをしない。このような人物を、砂糖漬け菓子なのに甘すぎず、海産物なのに塩辛くない人といいう。徳のある人物とは、こういう人のことをいう。』とあります。

 常に中間に心を持つことで、どんな状況にも対処できる。極端な感情を持たないように心がけたいと思います。

まとめ

 極端にすることなく、真ん中をめざそう。

 好調の時も不調の時も、状況が反転するヒントが隠れている。

 どんな状況でも変化することを理解して行動しよう。

 行動するときは、ここぞという時にすることが大切。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 本読みで心をいつも中心に!