才能にスポットライトを当てると他の成功への要素が見えにくくなる/やり抜く力を訪ねる2
才能が全てなのか?
私の意見では、「才能」に対するえこひいきが弊害をもたらす可能性がある最大の理由は単純で、「才能」だけにスポットライトを当てることで、ほかのすべてが影に覆われてしまう危険性があるからだ。「やり抜く力」を含め、実際には重要なほかの要素がすべて、どうでもいいように思えてしまう。
やり抜く力 第2章「才能」では成功できないより。
やり抜く力
アンジェラ・ダックワース【著】
神崎 朗子(かんざき あきこ)【訳】
学習スピードが速い人は確かに存在するし、才能は誰にでもあるものではないと著者は言う。そして、才能があることは悪いことではないとも本書に記している。
ただし、才能のみをえこひいきすることは、弊害を生むとも本書内で説いている。
才能だけではないという考えを多くの人が頭では理解しつつも、才能というものへの万能感や憧れをもっているはずだ。
「才能があったなら、努力なんてしなくてもいいのに」
「才能があったなら、もっとうまくいったはずなのに」
「あの人は才能があるからできるんだ」
才能があれば世界が変わると考えてしまうほどに「才能」という要素を重要視してしまうことがある。
しかし、才能を他の成功への要素(例えば努力)よりも重要視してしまうと、才能がないと思った時点であきらめる。もしくは、始めることもないかもしれない。
才能のえこひいきの弊害は、成長する可能性も見落とす。
才能を絶対とするなら、努力などで大きく成長できる芽を摘んでしまいかねない。
著者が教師をしていたときのエピソードで、最初は呑み込みが悪かった生徒が結果的に著者が思ったよりも良い成績を収めた。反対に呑み込みが速い生徒が思ったほど成績が良くなかったということがあったようだ。
最終的に明暗を分けたのは、「勤勉さ」「粘り強さ」だと著者は言う。
才能があれば、成長速度は速い。しかし、それだけでは成功は約束されない。
苦手で上達したくて始めたことが気づけば得意なことになる。
才能があるがゆえにつまらなく感じて途中でやめる。
才能があるから成し遂げられるとは限らないのだと今回の読書では感じた。
才能があるから始めるとは限らない。
才能があるから成功するとも限らない。
才能以外に旅に必要なものはなんだろう?
本を巡る旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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