本を訪ねる

読書は自分を知る旅

親しい間柄の会話に現れるすれ違い/LISTENを訪ねる4

親しい人に好奇心を持っている?

 今回の読書では、夫婦や親子、親友といった親しい人との会話ですれ違いが起きてしまう原因が面白く感じました。

 

 読んでいて、少し似ている話を思い出しました。

 

 それは、『オオカミ少年』という童話です。

 

 少年が「オオカミが来たぞ~!」と村中に大声でウソを言いふらし、村人が信じて大騒ぎになるという話です。

 

 最初は、少年のウソを村人は信じます。

 

 しかし、何度もウソをつくと、村人は、「またウソか」と信じなくなります。

 

 しまいには、本当にオオカミが来ても、誰も少年を信じませんでした。

 

 最初は、どんな少年か知らないので、話に耳を傾けますが、少年をウソつきだと知っていくうちに、村人は、耳をかさなくなります。

 

 そして、突然の真実を、ウソだと思い込み、耳をかしませんでした。

 

 親しい間柄だと、相手をこういう人と思い込み、会話にズレが生じやすいという部分が、この童話と似ているなと感じました。

 

 親しい人に好奇心を持って接しているかと言われれば、「持っています」と言う自信が、自分にはないように思います。

 

 長い付き合いになると、なんとなくこの人は、「こういう性格」「こういう風に考える」「こういうときこうする」など、想像がつく気がするからです。

 

 親しい人に、この人は、「何を考えているんだろう?」「どんなことが好きなんだろう?」と考えを巡らせることって、そんなにないですよね。知っていると思っていますから。

 

 その『この人のことを、よく知っている』は、落とし穴のようです。

 

 「また人の話しを聞いてなかったでしょ?」と親しい人に言われたことがある人は、意外と多いのではないでしょうか?(自分は、よくあります。)

 

 そこには、相手を知っているという思い込みから、話の内容を誤解してしまい、違った解釈をしていることもあるようです。

 

 知っていると、話の冒頭から「また、あの話ね。」と早とちりしてしまい、全く違う話を、「あの話」と聞き流し、ちゃんと聞いていないなんてことも考えられます。

 

 よく知っている反面、知らない部分を見つけにくくなってしまう。

 

 知っていることで生まれる盲点というのは、新しい発見であり、面白くも感じました。

 

 親しい人に好奇心を持てるように、工夫を考えてみたいものですね。

 

 本を巡る旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 今回の読んだ本は、聞くをテーマにした本↓

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LISTEN

ケイト・マーフィ【著】

篠田 真貴子(しのだ まきこ)【監訳】

松丸 さとみ(まつまる さとみ)【訳】

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