無力感と楽観主義/やり抜く力を訪ねる9
無力感と付き合うときは楽観的に
この画期的な実験によって、「無力感」をもたらすのは苦痛そのものではなく、「苦痛を回避できないと思うこと」だということが初めて証明された。
やり抜く力 第9章 この「希望」が背中を押すより。
やり抜く力
アンジェラ・ダックワース【著】
神崎 朗子【訳】
『あきらめる』ということも、学びの1つであるということが今回の読書でわかった。
ときには『あきらめる』ということも大事だと思う。ただ、何でもかんでもすぐにあきらめるというのは、やはり問題があるような気がする。
過去に起きた問題と似たことが起きたとき、過去にその問題を乗り越えたか、乗り越えられずにあきらめたかで、目の前の問題をあきらめるか、対応するかが変わってくるようだ。
以前『無力感』を味わったことに対して、なにも手を打たなくなることを『学習性無力感』というらしい。
どうすることもできないと感じたことは、今回、乗り越えられるチャンスがあっても、なにもしないであきらめてしまう。それはあまりにもったいない話だと思った。
学習性無力感には、楽観主義がよいと本書にはある。
学習性無力感とは、なにをやってもダメだという悲観主義のようなもの。本書によると、悲観主義は、『変わらない部分』や『原因の特定ができないもの』に注目するとある。
変わらないと思っているものに執着しても、対処しようと考えることはできない。
反対に、楽観主義は『変わる部分』や『特定できるもの』に対して注目するようだ。
悲観主義者が「自分はなにをやってもダメだ」と変わりようのない部分を原因として考えるのに対して、楽観主義者は、「今回は、努力が足りなかった」と、次につながる考え方をする。
悲観主義者が、「要領がわるいから」と、具体的な問題を特定しないのに対して、楽観主義者は、「今回は、前半に時間をかけすぎた。時間配分を見直そう」と解決の糸口を特定しようとする。
楽観主義を意識することで、学習性無力感を避ける働きがあるようだ。
ひとは永遠に無力ではいられない。
一瞬、一瞬、何かを得ようと生きたとき。
無力感から解放される。
本を巡る旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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以下は、『心の在り方』をテーマにした本の読書記録。
今回、読んだ第9章には、マインドセットの著者、キャロルさんの研究も紹介されています。能力は成長するという『しなやかマインドセット』と、能力は持って生まれたものだとする『硬直マインドセット』の話は、楽観主義、悲観主義と似たものがあります。変えられないものに執着してしまう方には何か得られる本だと思います。