本を訪ねる

読書は自分を知る旅

思考は繰り返される

考えることはいつからが良いのか?

 こんにちは、ライクです。

 今回の読書感想は、こちらです。↓

5歳からの哲学 [ ベリーズ・ゴート ]

価格:1,760円
(2020/7/10 22:26時点)
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 5歳からの哲学

 考える力をぐんぐんのばす親子会話

 ベリーズ・ゴート/モラグ・ゴート【著】

 高月 園子(たかつき そのこ) 【訳】

 土屋 陽介(つちや ようすけ) 【日本語版監修】

本書著者紹介より…

 著者のベリーズ・ゴートさんは、英国スコットランドのセント・アンドリュース大学哲学教授です。

 哲学を通して幼い子どもに創造的で批判的な思考力を育む教育法に力を注いでいます。

 同じく著者のモラグ・ゴートさんは、英国ファイフのアンストラザー小学校教諭です。

 翻訳者の高月園子さんは、英国在住歴25年。

 翻訳書多数で、エッセイ『ロンドンはやめられない』を執筆されています。

 日本語版監修者の土屋陽介さんは、博士(教育学)。

 専門は、子どもの哲学、教育哲学、現代英米哲学です。

 執筆もされていて、主な著書に『子供の哲学』、『こころのナゾとき』シリーズなどがあります。

 また、翻訳もされているそうです。

対話形式で考える力が身につく本。

 本書は、小さな子供たちに哲学の手ほどきをすることを目的としています。

 そのためのお話と問答のプランが掲載されています。

 すべての問答は、実際の教育現場で使用されたものとなっているそうです。

 問答のテーマやそこから得られる考え、対話の中での子どもたちから返ってきそうな答えの予測などが書かれています。

 子どもたちとの哲学問答を子供たちがわかりやすく面白い内容と、実践的な進行方法が書かれた本となっています。

5歳からなぜ哲学を学ぶの?

 本書は、5歳から哲学を学べる本となっています。

 しかしなぜ5歳から哲学を学ぶ必要があるのでしょうか?

 本書によると、哲学を学ぶことによって子どもの思考スキルを育み、自主的に学習する能力を伸ばすことが出来るからとのこと。

哲学をすることによって発達する主なスキル。
  1. 批判的な論理的思考力
  2. 創造的思考力
  3. 集中力
  4. 聴く力
  5. コミュニケーション能力
  6. 社交性 

 目次より

1、政治哲学 公平さとルール

 例えば、公平な分け方とは、同じ大きさに分けること?必要度に応じて分けること?など、公平とはどういったことを指すのかの問答などが書かれています。

 公平は、誰の視点で見るかによって違うものだと気づかされ、考えさせられました。

 つぎにルールでは、ルールは例外なく守らなくてはいけないのか?の問答があります。

 ルールを守ることで危険な場合どうすべきか?

 ルールは、何のためにあって、すべてに当てはまるのか?

 当てはまらない場合は、どうすべきかを自分で考え判断する必要があることを再認識しました。

2、環境哲学 草地、ゴミ、リサイクル

 何のために自然を守らなければならないのか?

 本書の所々に書かれている土屋陽介先生からの一言の1つ、『環境について』によると…

 生態系を守らないと自然のバランスが崩れる。

 ↓

 生態系が崩れると人間が滅んでしまう。

 ↓

 人間の利益のために、あるいは、人間が利用するために環境を守る。

 上記の様な考えを環境倫理学で、『人間中心主義』というそうです。

 反対に、そもそも人間は、環境があったからこそ生まれてきた存在で、自然は人間の都合で守るものではなく、そもそも守らなければならない。

 このような考え方を『ディープエコロジー』というそうです。

 このページを読んで思ったことは、自然をどういった理由で守るにせよ、守るという選択肢を考えている時点で、人間って自然に対して思い通りにできるという考え方なんだなということでした。

 自然を思い通りにできるという考え方、それをもっている時点で自然を軽視してしまっている気がします。

 守る・守らない、その考え方だと真の意味で自然を守ることはできるのか考えさせられました。

他のテーマ

3、社会哲学 友達と人間関係
4、論理   美徳と悪徳
5、美学   美しさ、絵、物語
6、心の哲学 感情、何かを信じること、人
7、認識論  夢と錯覚
8、形而上学 何が真実か

どのテーマも考えさせられる内容になっています。

歴史は繰り返されるように…

 今回本書を読んでみて感じたことは、5歳のころから悩みや考えさせられることって実は意外と変わらないのではないか?ということでした。

 1番目のテーマの公平なんかは、社会に出て不公平に感じる場面って結構あります。

 本書の土屋陽介先生からの一言に書かれているように、消費税は、貧富関係なく同じ金額を支払います。

 他にも仕事で言えば、能力よりも上司との相性で良し悪しを判断されたり(上司に気にいられるのも能力といえば能力なのでしょうか…)

 3番目のテーマ友達と人間関係は、どの年代でも考えることが多いです。

 友達の定義とは?

 人との違いで尊敬されたり、逆に軽蔑されたり…

 人と違うことは良いこと?悪いこと?

 このように学生から社会人になっても、似たようなことで思考を繰り返しているような気がします。

 歴史は繰り返されるとよくいわれますが、思考も同じように繰り返される。

 経験した出来事とほんの少しだけ違うだけで、ほとんど同じ出来事だったりするように感じます。

 そう考えると、保育園や幼稚園から自主的に考えることを生活に取り入れることで、将来に繰り返し起きる思考を、よりよい選択に導くことができるかもしれないと思いました。

 

 思考を必要とすることは、どの年代でも起きる。

 それも案外似たような形で…

 その思考と再会した時に笑顔で迎え入れられるように…

 自主的に思考することを知ろう。

 知ることで、怖くなくなる、好きになる。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうござました。

 本読みでより良い思考をしよう!